KUMAHOPE第5期
(京都大学医学部附属病院 実践的医療経営プロフェッショナル教育プログラム)
EQリーダーシップ講座 実践レポート
KUMAHOPE第5期 (京都大学医学部附属病院 実践的医療経営プロフェッショナル教育プログラム) EQリーダーシップ講座 実践レポート
2022年夏、アイズプラス代表の池照がKUMAHOPE(京都大学医学部附属病院 実践的医療経営プロフェッショナル教育プログラム)にて、「EQリーダーシップ」講座に登壇させていただきました。
今プログラムでは初のEQリーダーシップ講座の導入に際し、「プログラム全体の目的」「なぜEQリーダーシップを選ばれたのか?」などについて、プログラム事務局を務められる京都大学医学部附属病院 医療情報企画部 特定助教 齊藤健一先生にお話を伺いました。

池照:KUMAHOPEプログラム全体のねらいと現状をお聞かせください。
齊藤先生:もともと医療経営を学ぶ機会は少なく、教育プログラムの大半が個人病院の院長など、既に経営を経験されている先生方に向けて業務改善を目的に提供されることが多いのが実情です。ですが、その中でもさらに、KUMAHOPEでは大学病院をはじめとする公益性の高い病院を主たる対象としています。その様な環境では従来型の「トップダウン型リーダーシップ」だけでなく、「サーバント型」や「協働型」など、それぞれの先生方の特性を活かした多様なリーダーシップ発揮で運営をした方が、あるいは皆でさまざまなアイディアを出し運営をした方が良いと考えています。そこで、医療組織の中間管理職周辺の方を対象に、保険診療のイロハから始まり、リーダーシップ、組織マネジメントなどを幅広く学んでいただく、医療経営を考えるための教育プログラムとしてスタートさせました。今期が5期目となります。
池照:なるほど、医療経営のプロ、リーダーの育成が大きなねらいなのですね。確かに、ご参加の先生方は医療の専門性はもちろんですが、チーム作りやコミュニケーションにも関心の高い方が多かったですね。ご参加の先生方はどんなことを目指されていらっしゃるでしょうか?
齊藤先生:病院経営をより幅広い視点で考察し、改善につなげることです。京都大学は公的医療機関ですので、患者さんにとってはもちろん、日本の医療経済に対してもより良い影響を与えられることを目指し、医療資源の最適な配分について考えようということをコンセプトに立ち上がったプログラムです。
池照:今回、プログラムにEQリーダーシップをはじめて導入されました。選択をされた理由をお聞かせください。
齊藤先生:医療機関の経営にリーダーシップは欠かせないコンテンツです。当プログラムでは例年、公的医療機関のほか、いくつかの種類の病院について、事務長、病院長、看護師といった現場のリーダーたちが実際に行った経営改善・再建などの事例紹介をしていました。それぞれのリーダーの振る舞いや解決策について、「あなたはこのリーダーについてどのように思いますか?」という質問をしていく中で、医学部や医療系大学などでは学ぶ機会が少ないリーダーシップやコミュニケーションに対する関心が高いことが分かりました。もちろん、皆さんそれぞれ異なる考えは持っていらっしゃいますが、リーダーシップについてはもう一歩踏み込んでより要素還元的に分析をしていきたいと感じておりました。リーダーシップについて同じ評価尺度を持って自己理解しながら議論できればと思っていたところ、紹介いただいたのがEQのプログラムです。まさしく渡りに船でEmotional Intelligence(感情知性)のコンテンツに飛びついた次第です。
池照:そうなんですね。リーダーシップには高い関心があったのですね。この他にリーダーシップやコミュニケーションについて考えるプログラムはございますか?
齊藤先生:これまでのリーダーシップの学びは概念や事例紹介が主なものでした。キャリアプランや共感的な傾聴をするコミュニケーション方法などツールの提供はしています。具体的なリーダーシップの概念やリーダーシップスタイルについてのプログラムは今回が初めてです。
池照:講座ではEQI(行動特性)検査によってご自身のリーダーシップ行動の傾向について自己理解を深め、現場でのコミュニケーションについてそれぞれがお考えになっている様子が印象的でした。先生からご覧になって、皆さんの反応はどのように感じられましたか?
齊藤先生:皆さん、目を輝かせていらっしゃいました。EQはどこかで聞いたことがあるレベルで、「意味あるのか?」と最初は懐疑的であったと思います。話が進むにつれて、EQという概念・視点に真摯に向き合い、リーダーシップについて考え、現場の関係者や患者との向き合い方に対して、前向きに色々な知識を持ち帰っていただけたのではないかと思います。非常に盛り上がった3時間となり、感謝の気持ちでいっぱいです。

池照:印象に残ったエピソードはございますか?
齊藤先生:これまでとの違いは、皆さんがかなり積極的に質問をされていたことです。自然発生的にディスカッションが生まれたのが衝撃でした。
池照:皆さん、とても積極的でしたね。どなたかの先生の発言の後に必ずと言っていいほど質問があがり、一人ひとりが真摯に受け止めて自分ごとにされていらっしゃいました。
齊藤先生:質問が出るということは、真剣に話を聞いていることであると思います。一方通行になってしまう講義もありますが、今回はかなりの先生方が一つひとつの項目をご自身の現場に投影しながら理解を進め質問をされており、その点が非常に印象に残っています。
池照:私自身、医療関係者の方に対して一定のスタイルがあるのでは?と偏った思い込みがありました。同じ医療関係者でも状況は異なり、チームの作り方や連携も多様なことがわかりました。互いの多様な視点、そして共通の課題を互いに共有することでそれぞれが解決に向けたヒントを持ち帰っていらっしゃいましたね。
齊藤先生:今までは見てみぬふりだったと思います。自分の内面を分析して開示する機会が少なく、また共通のツールがなかったので難しかったのではないかと感じます。今回の講義を通じて、共通のツールを基に、互いに言語化できたことがとても有効でした。
池照:今後、KUMAHOPEプログラムにさらに期待されていること、挑戦されたいことはなんでしょうか?
齊藤先生:公的医療機関での経営改善・病院経営を考えるプログラムはまだ数も少なく認知が広がっていません。医療経営現場に寄り添った実践的なものをしっかりと学び、持ち帰り、現場で広げていただくことで「その知識・スキルはどこで授かったの」という話になればと思います。結果、KUMAHOPEプログラムがよりたくさんの方に受講いただき、それぞれの現場で活かしていただけるコンテンツとなっていくことを期待します。病院経営を考えていただくきっかけを、広く深く提供できればと思います。
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京都大学医学部附属病院 医療情報企画部 特定助教
齊藤 健一先生
2016年 社会医療法人愛仁会高槻病院麻酔科
2020年 京都大学大学院医学研究科 医学専攻 博士課程
2021年 京都大学医学部附属病院 特定助教
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京都大学医学部附属病院 医療情報企画部 特定助教
齊藤 健一先生
2016年 社会医療法人愛仁会高槻病院麻酔科
2020年 京都大学大学院医学研究科 医学専攻 博士課程
2021年 京都大学医学部附属病院 特定助教
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2022年(第5期)KUMAHOPE 募集要項
http://kumahope.kyoto/20210402pro
2022年(第5期) KUMAHOPE【リーダーシップとEQ】講座
講座概要: EQ検査を通して自身のリーダーシップ行動傾向を理解し、講義、グループディスカッションを通して自他を適切にマネジメントし、周囲を巻き込む自分らしいリーダーシップスタイルの構築への一歩を踏み出すものです。
参考図書: 『感情マネジメント』池照佳代著
アイズプラスからのご紹介
アイズプラスでは、EQ(感情知性)を人材開発、組織開発、人事制度設計に導入し、
以下のような組織目的達成のお手伝いをしています。
・企業理念の策定、浸透支援
・リーダーシップ開発/リーダー育成
・ダイバーシティ&インクルージョン/多様性施策構築、浸透支援
・エンゲージメント施策、タレントマネジメント施策構築と浸透支援
・「心豊かに働く」をベースとした人事制度の構築
・・・ 他