【前編】EQでマネジメント力を上げる。私もチームも輝き出す「感情」の扱い方と具体的アクション

【前編】EQでマネジメント力を上げる。
私もチームも輝き出す「感情」の扱い方と具体的アクション

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「さあ、人生をもっと前へ。」を創立10周年のタグラインに、これまでの金融業界の常識を超えた、全く新しいお金のプラットフォームを生み出し提供する株式会社マネーフォワードさま。まだ世界にない価値を創造するチームのパフォーマンスを最大化するため、人や組織のマネジメントにも意欲的に取り組んでいらっしゃいます。

その人事部に在籍する3名の女性が、2022年、弊社のEQコーチングを受けてくださいました。

EQアセスメント受検と、その結果に基づく個人コーチングを受けてから、3名のみなさんはどのような行動を起こし、ご自身やチームにどんな変化があったのでしょうか? 今回の記事では、個人コーチングから数ケ月後に実施したグループコーチングのハイライトをお届けします。


事象ではなく「感情」を聞いたら、メンバーがイキイキしてきた

池照: みなさんにEQアセスメントと個人コーチングを受けていただきましたが、受ける前と後で何か変化はありましたか? ご自身が意識して行ったことも含めて教えていただけますか。

竹内さん: 私のEQアセスメントで印象的だったのは「共感的理解」のスコアが低かったことです。自己主張性やストレスへの対処能力は高いのですが、周りの人に対して共感的に接することがあまりできていないことがあると自覚もしていたので、そこを変えたいと思いました。

具体的に行ったのは、対話する際に人の気持ちに寄り添うように意識すること。例えば何か困り事を相談された時、今まではすぐに事象にフォーカスして、どうやって問題を解決していくか、という話をしてしまっていた。ですが、まず「相手がどんな気持ちなのか」に注目し、「それは大変だったね」「今どう感じてる?」というふうに気持ちを確認するようにしました。1on1でもいきなりアジェンダから入るのではなく、「元気?」「調子はどう?」と、相手のコンディションを確認する所から入るように変えてみました。

すると、メンバーがすごく気持ちを話してくれるようになったんです! 中には自己開示をして涙する人も。こうして自分の気持ちを伝え合うことでメンバーとの心の距離感が縮まりましたし、みんなが楽しそうに働いていると私もうれしい。チームの関係性も良くなったと感じます。エンゲージメントサーベイの結果もすごく上がって、メンバーから自発的な提案がこれまで以上に生まれるようになったと感じています。

今までは、事実を確認して対応力を高めることが大事だと思っていましたが、まずはみんながイキイキと働ける環境をつくることが大事なんだということを、EQを通じて実感しています。マネーフォワードの社風もエモーショナルな所を大事にしていて、「Fun(楽しむ)」というカルチャーがあるので、掛け合わせていきたいですね。


事実には感情を、感情には事実を聞く「逆張りの質問」で人への解像度が上がる

池照: ありがとうございます。行動を少し変えてみたら、メンバーの反応も変わったんですね。みなさんとても素直で素敵です。「気持ちに寄り添う」ということについて私も人とお話しする時に心がけているのは、事実ベースで話す人には「感情」を聞き、感情ベースで話す人には「事実」を聞く、ということです。事実に集中して話す人に「その時どんな気持ちだったんですか?」なんて聞くと怪訝そうな顔をされたりしますが、そこは鈍感力を発揮してどんどん聞く(笑)。逆に「あの時は最高でした!」みたいに感情多めに話す人には、「STAR」※という面談ツールを使って事実を確認します。このように、事実を話す人には感情を、感情を話す人には事実を聞くということを行ったり来たりしながら対話すると、その方を理解する解像度が高くなります。

※STAR面接:過去の行動を掘り下げる手法で、その人の価値観や性格、思考パターンを見極めるのに役立つ。S(Situation):過去の状況について、T(Task):その時の課題は何か、A(Action):どういう行動を取ったか、R(Result):その結果は、の4つの観点でSTARの順番に過去の行動について質問する。アイズプラスでは、ここにemotion(感情)項目を追加した e-STARを提唱しています。

田中さん: 竹内さんのお話で興味が湧いたのですが、意識して共感のアクションを取ることで、気持ちまで本当に共感できるようになっていくのでしょうか?

池照: そうですね、私たちには知らず知らずのうちに「上司とはこうあるべきだ」という思い込みがあるように、メンバーの方々にも「会社の会議や面談では仕事のことを中心に話さなければいけない」といった前提をつくっていますよね。だとしたら、逆にプライベートの所を少し話してみるというふうに、「逆張りの質問」をしていくことによって、その人への理解が深まり、距離が縮まるきっかけになると私は思います。そんなことをコミュニケーションの中で楽しむ余裕が、私たちにもっとあってもいいのかもしれませんね。


苦手を先に自己開示したら、マネジメントの苦手意識から解放された

池照: 次は金井さん恵子さん、振り返ってみていかがでしょうか?

金井さん: 私が課題だと思っていたのは、マネジメントへの苦手意識が強い所で、自分の強み・弱みを知りたいと思ってEQアセスメントを受けました。でも、周りのみんなにも池照さんにも「金井さんはマネジメント苦手じゃないと思う」と言われ、EQの結果と照らし合わせてみると、私が苦手なのは「自分の気持ちを話す」ことなんだと理解できました。客観的に自分の特性が分かったので、私もエモーショナルに感情を表現してみようとしたのですが、やってみて、やはり私にはちょっと無理だなぁと(笑)。だから逆に、メンバーと話す時に「私は自分の感情を出すのがとても苦手だから、とっつきにくく感じるかもしれないけど、あなたとこういう関係を築きたいと思っている」みたいに説明するようにしました。そんなふうに自分なりのスタイルを見つけようとしている所です。

池照: いいですね、それは今も続けていらっしゃるんですか?

金井さん: はい。苦手なことを先に自己開示するようにしています。

池照: 周りの反応は何か変わってきましたか?

金井さん: 自分から「マネジメントが苦手だ」とか「自分の気持ちを話すのが苦手だ」と伝えると、周りの人は「そんなことはない」と言ってくれたり、逆に気持ちを聞いてくれたりするようになりました。その結果、私もマネジメントが苦手だという呪縛から解放され始めてきたのかなと思います。

池照: 私も金井さんがマネジメントが苦手だとは全く思いませんが、ご自身がん苦手意識があることが事実だとしたら、「苦手意識がある」と正直に伝えるといいですよね。それと、マネジメントは管理職やマネージャーだけのものでなく、メンバーや同僚も現場でマネジメントし合っているので、みんな何かしらヒントや知恵を持っていると思います。ですから「苦手意識がある」と開示すると同時に、「何か良い方法ない? やってみてよかったことある?」とか「誰か、私が話を聞きに行った方がいい人いる?」と質問して情報を得るようにしてしまうのも良いと思います。


言葉にならない世界観をみんなと分かち合うために
必要なのは感謝→感伝→感動の3ステップ

金井さん: なるほど。それから、周りの人に自分の印象を聞く(社会的自己意識のワーク)ことも5人やってみました。面白かったです。やはりみんな、初めは私のことをとっつきにくいと思うんだと分かりましたし、よく「聞き上手」と言われるのですが、その理由も分析できました。「気持ちを聞いてくれるからだ」と言っていました。

池照: いいですね! マネーフォワードのみなさんは、他社がやっていることをなぞるのではなく、誰もつくったことのない世界をつくろうとしていらっしゃるので、それを表現する言葉自体が新しい形や価値になる。前例のないことだから、従来のモデルがないということですね。だからこそ、「こんな世界観をつくりたいと思っている」という所からいろんな人を巻き込み、表現し難い世界を表すための表現の多様性を高めていくことが大切だと思います。

言葉だけでなく、絵とか数字とか、多様な表現方法を使って、情緒的・多角的に世界観を表現していく。金井さんのお仕事はそこが大事ですし、チャレンジです。使うツールはホワイトボードだけではなく、粘土やレゴや折り紙かもしれないですね。本当に自由に発想していくために、多様な人を巻き込んで「こんな世界観なんだけど、あなたのイメージはどう?」って、世界観づくりから人を巻き込んだら面白いかもしれませんね。

金井さん: そうですね、私はそこにみんなの言葉を使うかもしれない。自分が表現が苦手な分、みんなの言葉で補おうとするのかも。

池照: その世界観づくりに、「感情」を取り入れながら新しい文化、新しい仕事の形がつくられていくのだと思います。金井さんはそこに今、誰を巻き込みたいですか?

金井さん: 事業責任者の方々ですね。

池照: じゃあ宿題として、その方々を世界観づくりに巻き込んでみましょう。巻き込んだら、面白い世界が広がりそうな気がしますよ。

金井さん: 分かりました。経営合宿の夜にやってみます。

池照: 自分の気持ちの開示が難しいというのは、私も含め、昭和の時代に会社員になりマネジメントを担っていた方にもよくあることだと思います。「感情」を職場に取り入れることは成果づくりにつながらないと思っていましたから。一方で、多くの企業では「感動をつくる」をミッションとして掲げていたりします。でも「感動」は急にはつくれなくて、私は3ステップあると思っています。まずは「感謝」を相手に伝え、次に気持ちを伝える。私はこれを「感伝」と名付けています。そこから心が動く「感動」です。感動の前に、お互いへの感謝と感伝が必要だと思います。

管理職になると、「メンバーの感情や状況を聞く」ことに優先順位を高くする方が多いですが、そのためには、まず自分の感情を伝えましょう。相手から感情を聴きたいならまず自分からオープンにする、これが順番だと思います。ぜひ感謝→感伝で気持ちを伝え、周囲を巻き込んでみてください。



竹内さんも金井さんも、EQアセスメントとその後の個人コーチングを受け、行動を変えたことによって、周囲のメンバーにも良い影響を与えることができたようです。さて、田中さんにはどんな変化や気づきがあったのでしょうか?

>>【後編】EQでマネジメント力を上げる。私もチームも輝き出す「感情」の扱い方と具体的アクション
に続きます!


プロフィール

マネーフォワード People Forward本部 Talent Growth部
部長 竹内 富貴さん
※インタビュー当時

マネーフォワード People Forward本部 新卒採用部
部長 田中 馨さん

マネーフォワード People Forward本部 カルチャー部
部長 金井 恵子さん


アイズプラスからのご紹介

アイズプラスでは、EQ(感情知性)を人材開発、組織開発、人事制度設計に導入し、
以下のような組織目的達成のお手伝いをしています。

・企業理念の策定、浸透支援
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・エンゲージメント施策、タレントマネジメント施策構築と浸透支援
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