コアバリュー×EQで挑戦する
「高め合う文化」前編
世界150カ国、企業46000社が利用している出張・経費管理クラウドサービスを提供する株式会社コンカーでは、2017年より、弊社とEQ(感情知性)を活用した人材開発・組織開発に取り組んでいます。2018年からは「日本版 働きがいのある会社ランキング(調査:Great Place To Work®︎)」で3年連続の1位を獲得しています。企業のコアバリューの浸透と働きがいの向上を目指した人事制度改革および人材・組織開発が進むにつれて、目に見える成果が表れて来ています。そんな株式会社コンカーの人事担当である神戸直樹さん(Talent Acquisition & Development Manager)にEQトレーニングの導入を通して社内で体感している変化や成果につながった理由などについて、弊社代表 池照がインタビューしました。前後編に渡ってお届けします。
「働きがいのある会社」3年連続1位の理由
池照: コンカーの皆さんとはEQを通じてご一緒して4年目ぐらいでしょうかね。実はその前にも、人事制度を構築されていた際に、コンサルタントとして入らせていただいているので、私にとっても思い入れが強い会社です。その時から、三村社長の熱い想いにも触れていましたので、コンカーの皆さんへのEQを活用した自己開発や組織開発を、真っ先に「ぜひ私がやりたい!」と言って、ご一緒させていただいているんですよね。
神戸さん: はい、ありがとうございます!
池照: コンカーと言えば、「働きがいのある会社」で3年連続1位を受賞されていますが、これはすごい事です! なかなか出来ることじゃないのですが、神戸さんご自身はどのよう捉えていらっしゃるんですか?
神戸さん: はい、6年連続ベストカンパニーを受賞し、2018年から3年連続1位ですね。私自身も入社するきっかけになったのですが、とにかく宣言したことをその通りにやっている会社なんです。私は人事なので、施策を実行・管理する側ですが、これが実際に体現できているということが新鮮でありとても幸せなことだと思っています。
池照: 本当にそうですね。「働きがい」についても、三村社長本人が人事制度をつくられていた時から目標にされていましたよね。
神戸さん: そうですね、本当に有言実行ですね。それが社内にも浸透しています。
EQが社内外コミュニケーションや関係構築を促進

池照: 今日、特にお伺いしたいのが、この有言実行を支える施策の一つで、私がご一緒させていただいているEQトレーニングのことです。コンカーの企業ポリシーである「高め合う文化」の中でも「コアバリュー」が定義されていますが、このコアバリューの理解と浸透を目的として毎年EQトレーニングを導入いただいており、ちょうど先日も皆さんとご一緒したばかりです。ご参加者の感想やコメントなどはいかがでしょうか?
神戸さん: EQトレーニングに参加した社員から最も聞かれる言葉は、「(この会社で仕事をする動機も含め)自身のことを振り返る時間を持つことができた」、「自己理解を深めるための行動傾向が把握できる」という2点です。また、「すぐに仕事に活かせる実感が持てる」というコメントも多いです。コンカーでは社内外でのコミュニケーションを非常に重視していますが、EQはそれをより促進させ、活性化させ、関係構築の手段として活かせるという感想が多いです。
池照: ありがとうございます。今年は初めてオンラインでトレーニングを実施しました。その時のチャットでの感想や終了時のアンケートなども拝見していますが、皆さんが自分ごととして捉え、非常にポジティブに感じていただけているなという気がしています。
神戸さん: はい、毎回とても盛り上がりますよね! 本当に毎回良い結果となっていますし、現場からはこの次を学びたい、さらに成果につなげたいという意見もあります。今後もぜひ、定期的に続けていきたいと思っています。
客観的に「自分」に気づき、成果に直結させられる

池照: 神戸さんご自身がコンカーで人材育成全体を担当されている中で、さまざまなプログラムをご覧になっていると思います。その中でEQは、どのような特徴や意味合いがありますか?
神戸さん: まず第1点目は、自分自身に焦点を当てているという点です。自分自身が想定していた自分と、検査から分かる自分の行動量のギャップを客観的に把握できるという点が、参加者側としては興味がありますから、その気付きから入れるというのはいいですよね。そして第2点目は、その気づきを仕事や日々の生活に活かせる、成果に直結するところです。検査結果とトレーニングで学んだことを合わせれば、こんなふうに使えそうというイメージが湧きます。会社側としては、社員一人一人にイメージが湧き、そこに行動が伴っていくことに大きく意義を感じます。
池照: そうですね、毎回組織診断もさせていただくのですが、今年のチームは「自己開示」がとても高いチームでしたね。皆さん、自分に向き合い理解を深め、お互いにバリューを高める意味・意義を自己開示しながら、高め合う雰囲気をつくられていて素晴らしかったです。最初は検査結果に違和感があったとしても、互いに目的と課題を共有することによって、“向上しよう”という相乗効果がスピード感を持って加速しますね。EQ検査は一つのツールなので、それだけに頼る必要もないですし、一つのモノサシとしてピアグループ*で話しながら人材・組織開発を進めていける仕組みも良いとのお声をいただいています。
神戸さん: そうですね、まさにです!ピアという仲間と一緒に開発を継続できる点も、継続につながっているというコメントがあります。
池照: 私は毎回、参加者の皆さんの向上心に助けられているなという気がします。
コアバリューとEQをリンクさせることで浸透が加速

池照: 株式会社コンカーがEQを導入する目的は「コアバリューの理解・浸透」ですが、「バリュー(企業価値)」は多くの会社で文書化はされているものの、この理解を進め、浸透をさせることについては、どこの会社でも苦労があります。このバリューの浸透が「働きがいの高さ」にもつながっていると思いますが、御社ではどんなことに注力してこれを進めていらっしゃるのですか?
神戸さん: やはりバリューの浸透は経営にとって大きなテーマです。私のこれまでのキャリアでも、ここは本当に非常に難しかったです。しかしコンカーという会社は、トップの三村をはじめとして社員皆が有言実行する風土があります。トップ自らそのポーズを示せているところが組織浸透をリードしていると思います。それをより組織全体に拡大させるために実施しているのがEQトレーニングです。特にバリューの各項目とEQの項目を紐づけしていただいて、より理解を深めるものにしていますよね。例えばコンカーのバリューの一つである「Happy-Happy」は、EQ項目の共感力にリンクしていますよ、という形です。こうしてリンクさせることによってより具体的になります。このバリューを実現させるためには、何をすればいいのか、どうすればいいのかが理解できます。
池照: もう一つ「共通言語化」も浸透をより加速させていると思います。コンカーの場合はEQトレーニングを導入して4年目になりますが、三村社長を含め、マネージャーの皆さんもEQ理解とEQコーチングのトレーニングに参加されています。トップが重要性や意味を理解し、現場の方々には毎年挙手制でトレーニングに参加いただいています。これによって、他社で時々見かける「現場で開発を進めようと思っても上司から理解が得られない…」という嘆きで組織開発が止まってしまう残念な現象を無くすことにつながっています。バリューの浸透には、バリューの理解に加え、どのようにそれを自分ごとにして達成できるかを組織横断的に挑戦できる風土や環境づくりが必要です。もちろん、手段は多様にありますが、コンカーでは、EQが組織横断的な一つの共通言語として浸透していますね。数年継続して実施していることで、さらに浸透が強化されていると感じています。
神戸さん: はい。弊社はコミュニケーションを重視していて、1on1面談の実施により毎週必ずマネージャーと部下は30分以上話をしています。これまでは、マネージャーも自分で試行錯誤しながら我流でコミュニケーション能力を高めてきたと思うんです。ここでEQが導入されたことにより、自分の傾向を把握し、相手との違いや傾向を知り、パターンを学ぶことで、各マネージャーがより面談の質を高めることにつながっていると感じています。
池照: なるほど、そうですね。加えて御社の社員の方々は、バリューを自分ごとにするにあたり、最終的に自分で選択して行動する方が多いことも浸透を推し進めていると思います。
神戸さん: そうですね、コアバリューのそれぞれの大項目には目安としてEQ項目とのリンクはありますが、最終的に何を開発項目にするかは自分でデザインしますよね。
池照: はい、バリューとEQ項目のリンクは、あくまでガイドライン・目安です。自身の仕事の現況に照らし合わせると、目安にある通りではないという方もいらっしゃるでしょう。その時には、ご自身で説明と納得がつく方を選択し、再定義していただきます。そして、このEQ項目との紐づけ自体も、社内外の変化によっては見直しをして、一人一人が開発につなげるツールとしてアップデートすべきだと思っています。EQはあくまでも目安なんですが、こういう目安を現場の皆さんとマネージャーが「一つの共通のモノサシ」として使っていただくということが、各現場で考えるバリュー浸透の促進につながっていると思っています。
神戸さん: はい、そうなんです。それぞれが自分で考えて開発することが、バリュー浸透につながっているんです。
プロフィール
神戸 直樹 氏
株式会社コンカー 管理部 タレントアクイジション&デベロップメントチーム マネージャー
2017年入社。採用・研修業務を中心に従事。過去2社にて人事経験(採用、制度設計・運用など)を経て現職。
現在は特に研修領域の業務に注力。今年度4名のチームとなり、リモートワーク下においてチームマネジメントに尽力中。
※役職名は取材当時のものです