コニカミノルタ ダイバーシティ推進室インタビュー記事 第2部

全2回(後編)

コニカミノルタの
多様性文化構築への挑戦

ちがいをちからにするEQ活用 - 第2部 –
コニカミノルタ ダイバーシティ推進室 インタビュー

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 社員一人ひとりの異なる経験や考え・価値観が認められ、個性を発揮することで互いに刺激し合う組織風土を醸成し、新しい価値を創造する。このチャレンジに取り組むコニカミノルタ株式会社では、CEO山名さんの強い意志のもと、2017年に「ダイバーシティ推進室」を発足させました。
 「違いを力に」をキーワードに、アイズプラスはその発足支援から伴走させていただき、昨年度より、女性社員のさらなる活躍と、より多様な部下を育成するためのマネジメント力向上を目的とした2つの社内ワークショップを約1年半に渡って実施しています。
 女性社員と直属上司が同じタイミングでワークショップを受講することで、キャリア形成のイメージや課題認識を共有し、双方のコミットメントを高めようとするこの取り組みで大切にしているのは、「女性ならでは」を越えて「○○さんならでは」を引き出すこと。そのためにプログラムの中に「EQ(感情知性)」を取り入れました。

 では、ワークショップを受講した方々に、どんな気づきや行動が生まれたのでしょう? 上司とのコミュニケーションに、何か変化はあったのでしょうか? 今回はダイバーシティ推進室の末永さんと一緒に、コニカミノルタの女性社員である清水美和さん(八王子サイト)と加藤みゆきさん(瑞穂サイト)にお話を伺いました。



1. EQI(行動特性)検査を自分が受けた感想と上司の反応


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池照: 今回のワークショップはダイバーシティという文化を創るためのものだったので4ヶ月という長い期間をいただきました。その中で参加者の皆さんが自ら気づき、発信していくというムーブメントを生み出すのが狙いでした。その一環としてEQI(行動特性)検査を受けていただいたのですが、受けられた感想と、その後どのように活用しているかを教えていただけますか?

加藤(敬称略): EQについては、全く知識がなく、ワークショップの事前課題として検査を受けてくださいと言われて初めて知りました。もしかしたら新たな自分を発見できるのではと楽しみにしていたのですが、ほぼ自分が思っていた通りの結果でした(笑)。意外性はありませんでしたが、柔軟性が低いとか、自立する行動傾向が強いとか、私ってこういう人なんだということが数値で見ることができて良かったです。ワークショップの中で池照先生から、自分を成長させたいときには強みを強化した方が良いと聞きましたが、私は以前より自分が課題だと思っている柔軟性の低さが気になりました。スコアも他に比べて低かったため、上司と話しをして課題を克服するための活動として今回のワークショップに取り組みました。

池照: 上司の方ともこのEQI検査の結果をベースに話が進んだということですか?

加藤: そうですね。当時の上司とは、もともとコミュニケーションは比較的とれていたと思いますが、やはり業務中心の話をしていました。今回のことをきっかけに自分のキャリアについて何度か話す機会があったので、上司がどのような考え方をする人なのか知ることができ、また、自分の思いや意見も伝えることができたので良かったと思います。

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清水(敬称略): 私もEQI検査を受けたのは初めてでした。予想通りの結果で非常に納得のいくものでした(笑)。私の場合は、調和や共感力の要素が高く、自主独立性や決断力が低く出ていました。ちょうど新しい部署に異動したばかりだったのですが、担当する業務は自分の行動傾向の弱い要素を強化しなければ推進することが難しいと感じていたので、タイミングも良かったと思います。スコアの解説に書かれていた各要素の能力開発をするためのヒントが参考になり、今後、どのような行動に心がければ弱みを補強できるのかが明確になりました。それから、上司とEQについて話をしたのですが、「上司から見た私」の強み弱み共に認識が合っていました。上司からは、日々の業務からみた上での的確なアドバイスもいただくことができ、とてもありがたく、良い機会になりました。

池照: 今回のワークショップでは上司も皆さんも同じEQI検査を受けているので、上司は上司で自分自身を開発していかなくてはいけないのです。「池照先生、自分が克服しなくてはいけない所が、部下の方がよっぽど行動がとれています」なんて素直におっしゃる方もいます(笑)。

末永(敬称略): EQI検査結果のスコアシートは、部下の方に了解をもらい、管理職の方には、自分の結果と一緒に部下の結果シートも返却しています。返却する際、管理職の方は自分のものも見ますが、それ以上に真剣な面持ちで部下の方のシートを見ています。その時間、誰も喋らないし、だれも池照講師の話も聞いていません(笑)。

池照: これは本当にコニカミノルタの特徴というか財産だと思うのですが、「自分の部下がこういう所で悩んでいて、でも上司として私はそんな風に感じていない。これまで“もっと自信を持っていい”と伝えていたけど、部下のスコアを見たらやはりスコア(行動量)としては低く出ている。こんな時ってどういうふうに声をかけてあげたらいいのでしょうね?」というような質問をしてくださるのです。つまり、業務遂行や進捗だけでなく、それを支えるマインドセットや自分自身の「らしさ」を発揮する普段の思考や行動に関心をもつ上司の方が多いのです。EQの導入で目指している「目的達成のためのマインド」と「思考のマネジメント」の部分です。

清水: 仕事の成果への関わりに、こういうものが加わるのはとても良いことだと思います。普段、上司になかなか自分の内面に関して話す機会がない人もいるのではないかと思いますが、EQIの結果を通じて、仕事以外の内面まで話せる良いきっかけになるのではと思います。

池照: 今おっしゃっていただいたことは、上司がいちばん困っている所で、目標管理制度は多くの会社で導入していますが、それはやはり「売上をいくらにする」といった量的な目標が多くを占めます。ですが、大切なのは、部下一人ひとりがそれぞれの力を発揮できるよう成長を支援し、業務上の部下として、さらには一人の人間としての成長にどれだけ関われるかという所を、今、上司は問われているのです。もっと互いの「人としての成長」に関わることが、コニカミノルタが目指している変化の1つだと思います。ところが急に人間的な成長をテーマに話しなさいと言われても、何を聞いていいのか分からないというのが悩みなのです。仕事ではないことを聞くのはハラスメントになってしまのではないか、とか。でも、本来は目的やゴールが共有できていて、相手を尊重する聞き方ができていれば聞いていい。そういう時にEQのような指標があれば聞きやすいですよね。



2. EQを今後、職場や人生でどのように生かしていきたいか


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池照: 今までコニカミノルタでは取り上げてこなかったEQを今回のワークショップに取り入れることによって、自身の内面部分の数値化や自分に深くフォーカスすることができたことは意義あることだと理解しています。お二人はこのEQというものを、職場やご自身の人生において、今後どのように生かしていけると思いますか? 

加藤: EQを解説する冊子に、24の各素養を高めるため・低めるためのヒントが記載されていました。私の場合は、柔軟性を高めたいと思い、そのヒントを見たところ「話し始めを『でも』などの否定的な言葉ではなく『では』など違う言い方に変えてみる」と書かれていました。それを見たとき、「でも」は私の口癖の一つだということに気付き、自分がこれから取り組む行動目標とすることにしました。今後、また別の課題を克服したいとき、強みを強化したいときに使えると思い、今でも資料を見返したりしています。それから、ワークショップ内で池照先生が組んでくださったピアグループのメンバーや一緒にワークショップに参加した全員が私宛てにくれた「肯定的なコメント」が励みになっています。言葉をもらえるというのはありがたいですね。感謝や気持ちを伝える言葉を添えるとコミュニケーションが豊かになると池照先生がおっしゃっていたので、私もワークショップ中はそうするように意識していたのですが、日常に戻るとだんだんとそれを忘れてしまっていて。今日また思い出しました(笑)。

清水: EQは仕事もプライベートも関係なく、その人そのものに大きく関わるものだと思っています。例えば私は、今まで決断力がなく決めるのが遅いことで周りに迷惑をかけていました。それは、プライベートでも仕事でも同じでした。そのような自分の特性に対して、具体的な行動に落とし込んだ対処法を知ることができた、ということが私の今回の大きな収穫です。そして、意識していくことで変わっていくものだと実感しました。また、EQのワークショップを通じて、私自身は弱点だと認識していた部分が、他の方から褒められて逆に自信になることもありました。これからは自分だけで決めつけず色々な方のフィードバックもいただきながら成長していきたいと思いました。

池照: EQはセルフアセスメントなので、自分で書いたものが自分に返ってくるのですが、ワークショップの中で自分のことを皆に「発表」することによって、他人からのフィードバックをもらえる機会を作っています。そうすることで自分では弱点だと思っていたものが、他の人からは「素敵に見えたよ、もっと自信出していいよ」などと、少し違う見方を必ずされるんです。それも一つの気づきで、集合形式だからこそ得られるもの。フィードバックとアドバイスって、意思をもって自分から求めない限り、普段はなかなか得られないですから。



3. 個人としてこれから達成したいことや夢について


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池照: お二人がこれから会社に限らず個人としてでも達成したいことや夢などがありましたら、今の気持ちをぜひ聞かせてください。

加藤: コニカミノルタでは働き方改革が進んでおり、兼業や副業もOKになりました。この先もたくさんの変化があると思っていますし、今のままではいられないという危機感もあります。今回のワークショップをきっかけに自分のスキルの幅を広げるということを意識しました。会社では、新しいツールを積極的に使い業務に活かすことを意識し、会社外では、以前から取りたいと思っていた資格を取るために学校へ通い始めました。私は、自分の時間を自由に使うことができるので、「いつでもできる」という考えが働いて始めることを先延ばしにしていたところがあるのですが、去年より今年の自分が成長していることを目標に「やりたいと思ったことにはすぐに挑戦しよう」という気持ちに切り替えられるようになりました。夢というほどではないですが、広く周囲に貢献できるように今後も自分のペースでチャレンジを継続し、「私だからできること」を増やしていきたいと思います。

清水: 私は、第二子の育児休職から復帰した直後にこのワークショップに参加しました。実は、育児休職中に、今までと今後のキャリアプランを掘り下げて考えていたこともあり、よいタイミングだったと思っています。今回の育児休職前までは漠然と「働き続けたい」と思っていました。でも片時も離れず、ずっと一緒にいたいと思うほどの子どもを、預けてまで「働く」ということを今一度考えたのです。その結果、より明確に自分のキャリアをイメージし、この数年で知識や能力を積極的に伸ばしたい、と強く思いました。私は出産後、仕事と家庭や育児の両立を意識するようになってから、自分をどこかで制限していたところがありました。しかし、気持ちを制限せず、自分が成長したいという考えや想いを上司に伝えたところ、喜んでくれ、受け止め、理解してくれました。一方、家庭や育児との両立においては、保育所が近い・遠い、両親が近くにいる・いないなど誰1人として同じ環境ではないだけに迷いも多くあります。でも、私は私なりの答えを見つけて解決していけばいい、自分に制限をかけず、抱え込まず、周囲にも相談しながら進んでいけば良いと考えを変えました。夫にも、自分の考えや想いを話したうえで協力してほしいと伝えました。育児は分担しているものの、今までは1:9の割合でほとんど家事をしなかった夫が、最近は3:7くらいまでやってくれるようになってきました(笑)。
このワークショップは、仕事もプライベートも含め、自分の気持ちを強く形作ってくれたものだと感じています。私自身、ワークショップ期間中は、たくさん考え、悩むこともありましたが、その時間も大切だったと思います。ダイバーシティやイノベーションも、様々な発言や摩擦があって生まれていくものなのかとこの体験を通して学ぶことができました。

末永: お二人のように今回のワークショップを“きっかけ”に一歩を踏み出してくださる方がいること、本当にやってきて良かったと今日改めて思えました。池照先生と始めた1年前は、こんなにうれしい言葉を聞けるなんて、希望でしかありませんでしたが、いま、それが現実となりました。“きっかけ”は、やはり自分の気づきがないと掴めません。そこをしっかりとお二人は掴んでこられた。お二人のように感じてもらえる方が少しでも増えるように、これからも推進していきたいと思います。

プロフィール

加藤みゆき さん
情報機器開発本部 開発管理部所属/瑞穂サイト
1992年入社。生産技術、開発プロセス改革の仕事に携わり、2012年より現部門にて情報機器開発本部の予算管理と子会社管理を担当。新たなツールを活用した分析力向上とデータ活用の最大化を目指し、邁進中。

清水美和 さん
サステナビリティ推進部 社会推進グループ所属/八王子サイト
2000年入社。調達、人事、2回の育児休職を経て2017年より現部門へ異動し、CSRレポート(日本語・英語)の制作とCSRウェブサイト運営を担当。リモートワークを活用しながら保育園児2人の育児と仕事の両立に日々奮闘中。

末永千絵 さん
ダイバーシティ推進室
2000年ミノルタ株式会社(のちのコニカミノルタ株式会社)に入社。人事部門にて、人事労務管理・教育・採用・人事制度企画を担当。2016年にプロジェクトで始まったウィメンズコミッティに参画し、2017年ダイバーシティ推進室の発足から携わる。一人ひとりが持つかけがえのない違い(個性)を発揮し、お互いを高めあう組織(職場)を創るために日々、取り組んでいる。