コニカミノルタ ダイバーシティ推進室インタビュー記事 第1部

全2回(前編)

コニカミノルタの
多様性文化構築への挑戦

ちがいをちからにするEQ活用 - 第1部 –
コニカミノルタ ダイバーシティ推進室 インタビュー

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 世界中であらゆる価値が急速に多様化・変化している今、精密機器メーカーのグローバル企業であるコニカミノルタ株式会社は「新しい価値の創造」を理念とし、ビジネスや生活のさまざまなシーンにおいて、もっと社会に貢献できるイノベーションを生み出す企業でありたいと進化を続けています。
 その取り組みの一つとして、CEO山名さんの強い意志により、2017年4月に直轄組織として「ダイバーシティ推進室」を設立。Diversity(多様性) and Inclusion(一体性) の本質理解の浸透と2016年度から強化している女性社員のさらなる活躍推進に注力しています。
 アイズプラスでは、このダイバーシティ推進室の発足支援と共に、管理職、女性社員の各層に「EQ(感情知性)活用」を取り入れたワークショップを、すでに250名を越える方に対して1年半以上に渡り実施しました。

 ワークショップ実施の結果、コニカミノルタでは実際にどんな変化が始まっているのでしょうか? 今回は、ダイバーシティ推進室で一緒にこのプロジェクトに取り組んでいる末永さんと、昨年度、ワークショップに参加された高槻サイトで管理職を務める津島峰生さんに、EQ検査を受けた感想や現場でどのように活用しているのかについて、お話を伺いました。


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末永(敬称略): 私たちコニカミノルタは、一人ひとりの異なる経験や考え・価値観が認められ、その個性を発揮することで互いに刺激し合う組織風土を醸成し、新しい価値を創出することを「違いを力にする」という言葉に込めて、チャレンジを続けています。

その一環として、昨年度より、女性社員がより活き活きと活躍することを目的とした「キャリアプランニングワークショップ」、多様な部下を育成するマネジメント力向上のための管理職向け「ダイバーシティマネジメントワークショップ」を実施しています。

この2つのワークショップは、アイズプラスの池照さんの総合的なデザインのもと、女性社員と直属上長が同じタイミングで受講し、キャリア形成のイメージや課題認識を共有することで、双方のコミットメントを高めています。ワークショップで大切にしていることは、「女性ならでは」を越えて「〇〇さんならでは」を引き出すこと。そのために、自分を知り、相手を知り、それをコミュニケーションの実践に活かす「EQ※(感情知性)」を取り入れました。

EQは、良い悪いではなく、めざす目標に向かって、自分自身で開発できることが特徴です。上司・部下でEQという同じ指標を持ち、共通言語として語り合うことができれば、必ず、双方にとって価値ある結果がうまれると信じ、私たちは進めています。



1. EQ行動特性検査を自分が受けてみて


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池照: 会社が推進しているダイバーシティの取り組みの中で、女性社員とその上司を対象にEQ活用のワークショップを実施しましたが、津島さんご自身がEQ行動特性検査を受けてみて、いかがでしたか?

津島(敬称略): 研修に行く前は「ダイバーシティ」という言葉も、狭い意味で「女性の活躍を」というくらいの理解でした。EQ検査を受けた感想は、スコアシートとして出るのが分かりやすかったですね。製造業なので社員は理系が多く、数値で表されると理解しやすい。自分のスコアを見て、こんな一面があったのかという意外性よりも、「やっぱりそうか」と納得することの方が多く、それを客観的に数値で示されるというのがインパクトありました。「コニカミノルタの典型的な管理職層の行動傾向はこういうパターンですよ」と池照先生にスコアシートの読み方の切り口をご説明いただき、自分はそれに比べてどうなのかと、標準との差分で大局的に捉えることもできました。それで言うと、私は「標準的なタイプ」ではなかった(笑)。コニカミノルタの管理職層は、論理先行な傾向が多いのに対し、私は理系なのに感情に流されやすくて。私はこの逆特性を生かしていくべきだ、と思っています。

池照: まさに「ちがいをちからに」ですね(笑)



2. EQを現場でどのように活用したか


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池照: 今回は、同じEQ検査を上司も部下も1名ずつ受けているわけですが、津島さんは実際に現場でこれをどう活用されましたか?

津島: 今まで部下のことは、仕事の側面、例えば、納期と成果でしか見ることができていませんでした。しかし、そもそも彼女(部下)はこういう考えを持つ人なんだ、だからこういう成果が出るんだ、改善するなら、ここじゃなくてこっちを突かなきゃいけないんだという理解にEQは役立ちました。スコアシートを元に彼女と面談をして、こういう所に不安を持ちサポートが必要なんだと明確に分かると、上司としてどうすべきか心理的な面からも支援・指導できます。おそらくですが、私のスコアシートも部下にオープンにしたことで、お互いの感情への共感も生まれたんじゃないかな。

池照: そうですね、実は今回のプロジェクトを進める中で、女性社員の側からも「上司もこうやって苦労してるんだ、いたわってあげなきゃ」という声が出ているんですよ。会社の業績を下支えする個々の人間力に共通言語ができたというのは一つの成果ですね。

津島: 部下の潜在的な悩みを聞く機会を作らないといけないんだな、という気づきもありました。一つの例ですが、今まで正式に部下を持ったことがない、という点に負い目を感じているケースもあります。だとすると意図的にでもチームでの人財育成や指導などの機会を与えることで、部下はチャレンジができる。結局、管理職ができることは「きっかけ提示」です。EQは、何が課題かを気づかせてくれるツールなんだと思いました。

池照: 本人が「やりたい」と思っているのにそれが行動特性として出ていない。何がそれを阻害しているのか。その要因を「どう思ってる?」と本人の口から言ってもらえるツールとしてもEQは活用できますね。



3. 今後もEQ活用を現場で続けていくために必要なこと


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津島: EQを理解している人が現場の10人の中に1人だと、やはり元の組織に戻ってしまうんですよ。相当意識しないと惰性に飲まれてしまう。今回、部下への接し方という意味では勉強にはなりましたが、全体としてやっていくなら数カ月に1度はチェックするなど、仕組みや仕掛けが必要だと思います。

池照: 「EQをどう活用していますか?」のフォローということですね。津島さん自身は、管理職として今後EQをどのように生かしていけそうですか?

津島: 私は標準タイプと違うので(笑)良い面も悪い面もうまく使っていくべきだろうなと思っています。例えば私は叱るのが苦手。だったら、他の管理職でそこが得意な人とチームとして一緒にやる。やはり互いに得意不得意がありますから、一人では限界があります。EQを理解している社員がたくさんいることで、足りない部分は誰と補えるか?というのも探しやすくなります。

池照: そうですね、今回は多くの管理職の方がこのプログラムに参加されていますから、チーム達成への成果が期待できますね。他の管理職の方と、どんなお話をされましたか?

津島: こうやってくれ、ああやってくれと私たち管理職が言うより、最初に部下やメンバーと握らないといけないのは「目的とビジョン」だねと。とかく私たち理系人間は、ここが何cmで何gで…と目指すものを仕様で語りがち。そうではなくて、皆が同じ目的に向かって進めるようなビジョンを言葉で語れること。IQとEQ、両輪で語れることが大事だと。

池照: 優れた上司の決め手は専門的なスキルだけでなく、部下たちのヒューマンスキルやモチベーションを定性的に言葉でも伝えリードしていけるのかです。そこで部下の気持ちに寄り添える言葉を、目を見て言えるかどうか、そして周囲を巻き込んでチームで成果を出す影響力を与えられるかがキーですね。

津島: 思うだけ考えるだけは誰でもできます。具体的に行動にすることが難しい。例えば会社の具体的な評価制度として出せば、それは必ず行動として結びつかざるを得なくなる。期末期首の開発の計画と同じように、EQもダイレクトに評価する仕組みがあれば継続しやすくなると思います。抵抗もあるかもしれませんが、結果的に良い方に回っていくと思います。

池照: 業績を下支えする人間的な魅力を上げていく。これこそがダイバーシティ推進の施策だからこそできる取り組みですね。

プロフィール

津島峰生
開発統括本部システム技術開発室第3グループ グループリーダー/コニカミノルタ株式会社 高槻サイト