株式会社ベーシック 秋山社長 インタビュー記事 第1部

第1部

自発的に成長し続ける
人材・組織をどうつくる?

比較でみる、マネジメント機能不全の対処法(全2回)
【前編】ホラクラシー型とヒエラルキー型の最適バランスとは?

働き方を考えるカンファレンス20182018年2月に虎ノ門ヒルズフォーラムで開催された「働き方を考えるカンファレンス2018」 (主催:一般社団法人at Will Work)にて、弊社代表 池照が、株式会社ベーシック 代表取締役 秋山勝さんと、「マネジメント」をテーマに対談という形で登壇しました。働き方が大きく変わりつつある今、組織の在り方やそのマネジメント方法の最適解を模索している企業・ビジネスパーソンも多く、カンファレンス後に「もっと聴きたかった!」のお声を頂いたため、今回もう一度、秋山さんとこのテーマについてさらに掘り下げるべく対談して来ました。多くの発見が得られたその内容を、前後編2回に渡ってお届けします。


ホラクラシー型とヒエラルキー型の最適バランスとは?

秋山さんは、ご自身が経営する株式会社ベーシックにおいて、創業〜10年目までは *ホラクラシー型、その後〜現在に至るまでは *ヒエラルキー型の両方の組織マネジメンを実践した経験があります。


ホラクラシー型を採択していた時代

株式会社ベーシック秋山社長池照: そもそも「ホラクラシー」ってどういう定義で秋山さんは使っていらっしゃるんですか?

秋山: 僕の中ではセルフマネジメント前提の組織であり、プロの集団であること。自走型の人たちの集まりですね。ただ、それは会社でやることの全てが「自分事」にならないと成立しないと思っています。社員一人ひとりの様々な価値観や個性もあるなかで、常にジレンマを抱えながら、その理想の状態に向けていろんな取り組みをしていました。

池照: なぜ、そうしていたんですか?

秋山: やはり自分の価値観で言うならば、ゴール地点を示してもらえればセルフマネジメントでやるのは当然だっていう思いがあるからなんです。なので創業時は自分の会社もそちらにしたかった。従来型の組織は自分自身も抵抗があったし。僕自身はどのサラリーマン時代も戦って、自分だけホラクラシー型の働き方を通させてもらっていたんです。会社が求めているものを自分の中で理解した上で、いちばんパフォーマンスが出る方法がセルフマネジメントだと思うからですね。人の創造性や可能性が広がる期待がありました。会社が掲げた理想に共感すれば、勝手にやるだろうと思っていたし、だからこそ「どうしたい?」を大事にしていましたね。

池照: 結果はいかがでしたか?

秋山: あまりうまく行かなかったですね。

池照: それは、何故なんでしょう?

秋山: あくまでも会社の仕事ですから自走型といっても信賞必罰が当然ついてくるはずだったのに、それをしてこなかったからです。期待というか、僕のネバーギブアップ精神が強すぎたんですね。結果、形だけのホラクラシーになってしまった。


ヒエラルキー型に変えたきっかけ

「会社のため」より「人生の質」池照: そして今度は、どんなことがヒエラルキー型に変えるきっかけになったのですか?

秋山: ホラクラシー型をやっていた当時、2年連続(2013-2014)で「働きがいのある会社ランキング」(Great Place to Work®︎ Institute Japan)に入賞したんです。ところが業績は悪かった。ここに、ものすごく大きな違和感を感じたんですね。それぞれがしたいと思うことを自走型でやるという中で、(誰も拾わない部分が生まれて)ポテンヒットが至る所で起きていたのを目の当たりにして来ました。一つ一つは些細なことだけど、むしろ小さいことができないのにホラクラシー型組織なんて実現できないのではないかと思ったんです。曖昧さというか、自走前提で期待をかけることが「迷い」を与えていたんだと。「迷いがない状態」を作ることが組織の目標を達成する上で重要、つまり役割やルールを明確にした方が、みんなが力を発揮できるんだと理解しました。

* ホラクラシー型:上下関係を排除し意思決定の権限や機能を分散させたフラットな組織

* ヒエラルキー型:上下関係があり命令系統がある階層状の組織

池照のまとめ

ホラクラシー型がワークしない時

  • メンバーに確固たる「生き方の理想」がない時。個人として自分が「どう在りたいか」という姿を自分なりに意識できているか、描けているかで、ホラクラシー型がワークするか否かが決まる。
  • 信賞必罰が伴わなかった時。自由はトレードオフ。その仕事への責任をきちんと求めることが必要。

目的を達成するための組織マネジメントにおいて重要なこと

  • 「この組織はどこに向かうのか? それはなぜなのか?」というビジョン・想いを強く共有し、その実現のために必要な役割を明確にすること。
  • ミドルマネジメントが、そのビジョンの実現に本気であること。この実現を日々の業務で発揮していること。

プロフィール

秋山 勝
株式会社ベーシック(https://basicinc.jp/
代表取締役

1972年2月7日、東京生まれ。高校卒業後、企画営業職として商社に入社。1997年、株式会社グッドウィルコミュニケーションにて、物流倉庫の立ち上げ、EC事業のサービス企画を経験。2001年、トランス・コスモス株式会社に入社し、Webマーケティング関連の新規事業など数々の事業企画を手がける。2004年に株式会社ベーシックを創業。「Webマーケティングで世の中の問題を解決する」をミッションに、国内最大級のWebマーケティングメディア「ferret」やオールインワンマーケティングツール「ferret One」、Webページ作成ツール「One Page」といったWebマーケティング事業や国内最大級を誇る「フランチャイズ比較ネット」などのメディア事業を展開。設立以降、50を超えるサービスを生み出し、10件以上のM&Aの実績を持つ。